これまでは障害者と高齢者が別々の施設でサービスを受けていましたが、介護職員の慢性的人材不足解消のため、両者を統合して障害者と高齢者が共存する共生型サービスが始まりました。共生型サービスの施設では、高齢者と障害者の幅広い年齢層の交流が可能になります。たとえば、放課後等デイサービスとデイケアサービスを統合した共生型サービスでは、小学校1年生から高校3年生までの学齢児と高齢者がひとつの施設で共生することになります。高齢者にとって孫のような子どもたちが施設内で元気に走り回っている姿は、これまでの高齢者施設ではなかなか見られない光景です。
こうして構築される新しい人間関係において、施設職員の果たす役割は大きいです。これまで高齢者施設に居て介護中心の業務をこなしてきた職員も、活発な子ども相手の活動を行うことになるからです。軽度の知的障害の子どもであれば、高齢者介護について一定の手伝いもできます。職員は子どもたちを上手に指導しながら、子どもを交えて高齢者を喜ばせる支援ができるよう工夫する楽しみも生まれます。子どもに支えられる高齢者にも新鮮な刺激になるでしょう。
元々高齢者しかいない施設では閉塞感を打開することが難しいと言われていますが、子どもと共生することにより活性化されるかもしれないと期待されています。高齢者と児童が支え合う施設は、職員にとっても魅力的なのです。また、子ども好きな高齢者なら、子どもを見守る役割も果たしてくれるかもしれません。高齢者の善意を汲み取り、高齢者が子どもの安全確保に貢献できるよう配慮すれば、職員の負担も少しは軽減されられるでしょう。子どもと高齢者を繋ぐ役割を職員が上手く果たせれば、利用者も相互に役に立てるという達成感・充実感を得ることができるでしょう。